映画「IT~それが見えたら、終わり~」の感想

映画「IT」

映画「IT」が大きな話題を呼んでいる。

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ホラー映画ということで、ややわくわくしながら観にいってきた。

ホラー映画は友人と行った「スプリット」ぶりだが、近年のホラー映画は「本当に怖いのは人間なんだよ」の先にある「どうして人間が怖いのか」みたいなところを丁寧にえがいたものが多く、個人的にはとても好みだ。

この「IT」も、そういった種類のホラー映画である。

劇中にピエロが登場するがその際、これまでにぎやかなまでに舞台を彩っていた音が全て消え、ピエロの物音だけが響く。あの音がなくなる感じはホラーではおなじみの手法となりつつあるが、今でも効果的な手法と言わざるを得ない。

主人公の少年は普通の少年だ。ホームアローンの少年のように、才気に満ち溢れているわけでも、悪戯が好きなわけでもない。われわれ大人が抱きがちな「無邪気な一般化された少年像」である。であるからこそ、我々は少年に寄り添い、体験を共有するのだ。

ラストのシーンの不気味さ

そして、ラストのシーン。

ラストに少年がこちらを振り返る。

その時に見せる笑みを観た瞬間、わたしは背筋に冷たいものがおりたような気がした。

明らかにそれまでさんざんこちらを痛めつけ続けた「殺人ピエロ」と同種のものだったからだ。あの恐ろしい「殺人ピエロ」は、少年の心そのものだったのだとこちらに知らしめてくる。

少年の心。つまり、それまで観客が寄り添っていた心である。長い時間共に、スクリーンの中でハラハラしたり恐怖した心である。

あの少年の笑みはピエロへの共感でもなんでもなく、観客に「最も怖いもの」とは自分自身の心ではないのかという問いを投げかけているのだ。

そのことに気付いてしまうこと。それこそがこの映画の中の「ホラー」の本質ではなかろうか。わたしにはそう思われてならない。

 

※この感想は、映画を観ていない状態のわたしが内容を予想して書いたものです。実際の映画がどういう話かは不明です。